最初の一枚
僕が最初に買ったのは絨毯ではなく、キリムだった。
絨毯は縦糸と緯糸とパイル糸で織り上げられるのに対して、キリムは縦糸と緯糸のみで絨毯のようなふわふわとした起毛(パイル糸)が存在しない。
キリムとはいっても、その織り方にはいろいろなテクニックがある。この一枚はスマック織りといって、緯糸が4本の縦糸を越して、2本に絡めて繰り返して織られる。緯糸の色が変わるところで糸は裏側に引き出すため片面しか使えない。いろいろな技法のなかでも優れた織り手の証明でもあるのだ。
産地は西部アフガニスタンのアドラスカーンであり、ヘラート州南部に位置する。購入したときはてっきりバローチ族のものと思っていたが、「The Carpets of AFGHANISTAN」を読んでいると下記のように書いてあり僕の認識が違っていたようだった。
アドラスカーン(Adraskan)の住民はアリザイパシュトゥン族、ヌールザイパシュトゥン族が多い。彼らはバローチ族から織の技術を習ったことから、絨毯・キリムはバローチ族の影響を受け「バローチタイプ」のカテゴリーに入る。(06/2/8追記 その後知人よりムシュワニ系ではないか?と指摘があり、そう言われてみればそんな気もします。専門的な書物も乏しく、手探り状態ではあるが、少しづつ勉強していきたいと思う)
バローチ族や彼らに影響を受けた部族は他の民族と比較しても暗い色を好むが(その地に植物が少ないことも関係あるのか?)、このキリムも黒と茶を基調としたシックなものである。自宅の応接室に敷いているが、いつまでも飽きがこない不思議な魅力がある。
これを僕に売った絨毯商人とは今でも親友であり続けている。
この文様って、好きなんだ。
結界を張っているようなボーダーですね。
絨毯は縦糸と緯糸とパイル糸で織り上げられるのに対して、キリムは縦糸と緯糸のみで絨毯のようなふわふわとした起毛(パイル糸)が存在しない。
キリムとはいっても、その織り方にはいろいろなテクニックがある。この一枚はスマック織りといって、緯糸が4本の縦糸を越して、2本に絡めて繰り返して織られる。緯糸の色が変わるところで糸は裏側に引き出すため片面しか使えない。いろいろな技法のなかでも優れた織り手の証明でもあるのだ。
産地は西部アフガニスタンのアドラスカーンであり、ヘラート州南部に位置する。購入したときはてっきりバローチ族のものと思っていたが、「The Carpets of AFGHANISTAN」を読んでいると下記のように書いてあり僕の認識が違っていたようだった。
アドラスカーン(Adraskan)の住民はアリザイパシュトゥン族、ヌールザイパシュトゥン族が多い。彼らはバローチ族から織の技術を習ったことから、絨毯・キリムはバローチ族の影響を受け「バローチタイプ」のカテゴリーに入る。(06/2/8追記 その後知人よりムシュワニ系ではないか?と指摘があり、そう言われてみればそんな気もします。専門的な書物も乏しく、手探り状態ではあるが、少しづつ勉強していきたいと思う)
バローチ族や彼らに影響を受けた部族は他の民族と比較しても暗い色を好むが(その地に植物が少ないことも関係あるのか?)、このキリムも黒と茶を基調としたシックなものである。自宅の応接室に敷いているが、いつまでも飽きがこない不思議な魅力がある。
これを僕に売った絨毯商人とは今でも親友であり続けている。
この文様って、好きなんだ。
結界を張っているようなボーダーですね。
by charsuq
| 2006-02-05 19:10
| 絨毯 キリム
|
Comments(5)
fukuyamaさんついに毛織物が登場しましたね。これが最初の出会いだったんですか?それにしては渋い物を選ばれましたね。
これってやっぱりバルーチ系のものじゃないんですか?ギルザイやドゥラニーのものを見たことがありますが、色彩技法とも少し違うように思います。気に入っているという文様は、ホラサーンのバルーチなどに典型的に出てくる文様だし、(JT本の9pのナマクダーンも同じ文様ですよね。)あれはホラサーンバルーチのものと思います。
「The Carpets of AFGHANISTAN」も見てみましたが、何処に書いてあるかわかりませんでした。著者のR.Pardon に会ったことありますが,アル中の親爺(怒られるかも!)という感じでした。
ペルシア語は堪能でしたが・・・。確かに数少ないアフガニスタン絨毯の専門書ですよね。もちろんアドラスカーン周辺は、アリザイパシュトゥン族、ヌールザイパシュトゥン族が多いと思います。個人的にはムシュワニと理解していました。ご返事お待ちしています。
これってやっぱりバルーチ系のものじゃないんですか?ギルザイやドゥラニーのものを見たことがありますが、色彩技法とも少し違うように思います。気に入っているという文様は、ホラサーンのバルーチなどに典型的に出てくる文様だし、(JT本の9pのナマクダーンも同じ文様ですよね。)あれはホラサーンバルーチのものと思います。
「The Carpets of AFGHANISTAN」も見てみましたが、何処に書いてあるかわかりませんでした。著者のR.Pardon に会ったことありますが,アル中の親爺(怒られるかも!)という感じでした。
ペルシア語は堪能でしたが・・・。確かに数少ないアフガニスタン絨毯の専門書ですよね。もちろんアドラスカーン周辺は、アリザイパシュトゥン族、ヌールザイパシュトゥン族が多いと思います。個人的にはムシュワニと理解していました。ご返事お待ちしています。
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charsuq at 2006-02-06 22:39
Sさん、僕自身バローチおよびバローチタイプのものについてはわかりにくいことが多いですので、これからも勉強していかなければならないと感じています。アドラスカーンの記述は「The Carpets of AFGHANISTAN」P140の下の1/3にあります。同じパシュトゥン族でもモコールのものと比べると技法もテイストも異なりますね。それ以外のパシュトゥン族のキリムでしょうか?
P156を読んでいると、おっしゃるようにムシュワニのような気がしてきました。ただ彼らはパシュトゥンオリジンだとP153に書かれています。カブールやヘラートでシンダンド出身の人に何人か会ったことがあるのですが、カンダハリーかと思うような顔つきと雰囲気でした。彼らはあの辺りはほとんどパシュトゥン族だと言っていたので、織りはバローチではないのではないでしょうか?
それにしても、ムシュワニとそれ以外のアドラスカーン周辺に住むパシュトゥン族の織りものって明確に区別できるのでしょうか?今度現地に行ったら確認しようと思います。
3枚目の写真のボーダーはヤコブハーニーのよう??
PS.これからもおかしなことを書いていたら、ご指摘いただきたくお願い致します。自分なりに調べているのですが。
P156を読んでいると、おっしゃるようにムシュワニのような気がしてきました。ただ彼らはパシュトゥンオリジンだとP153に書かれています。カブールやヘラートでシンダンド出身の人に何人か会ったことがあるのですが、カンダハリーかと思うような顔つきと雰囲気でした。彼らはあの辺りはほとんどパシュトゥン族だと言っていたので、織りはバローチではないのではないでしょうか?
それにしても、ムシュワニとそれ以外のアドラスカーン周辺に住むパシュトゥン族の織りものって明確に区別できるのでしょうか?今度現地に行ったら確認しようと思います。
3枚目の写真のボーダーはヤコブハーニーのよう??
PS.これからもおかしなことを書いていたら、ご指摘いただきたくお願い致します。自分なりに調べているのですが。
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orientlibrary at 2006-02-07 01:42
はじめまして。tribeさんつながりでおじゃましました。旅も絨毯もアフガニスタンも興味のあるものばかりです。さっそくtribeさんとの濃い語り合いもあって、読みごたえありました。写真も楽しみにしています。リンクさせていただきました。わたしはタイルをメインにしています。うちへもどうぞ、いらっしゃいませ。
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charsuq at 2006-02-07 05:59
ありがとうございます。 orientlibraryさんってジョントンプソン本の読む会に参加されているJさんでしたっけ?全て読みきれていませんが、ブログは楽しく拝見させていただいておりますよ。Sさんに刺激されて始めたブログなので、もとを辿っていけば、Jさんの影響が大きかったような気がします。これからも宜しくお願いします。
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caffetribe
at 2006-02-07 20:39
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Fさん、このあたりの毛織物や絨毯についての分析はとても興味があるものの、本格的な資料が乏しく今後の研究に期待のかかるところだと思っています。ぜひともFさんがトライしてみては!確かにムシュワニはpashutonオリジンとありましたが、同時に上の毛織物と近いものが、P168に出ていました。Baluch-typeとして分類されていて、taimani (ヘラートからハザラジャードまで)とmushuwani(北西ヘラート)で織られていて、ペシャワール、ラホール、クエッタ、カラチなどのマーケットに出ている云々・・・。確かに一時期この織りのものをそれらのバザールでよく目にしました。バルーチに関してもパイル(絨毯)に関しては欧米の研究者の本も何冊かあるのですが平織りに関してはほとんど無いといえるでしょう。同時にバルーチ系のサブトライブについても、トルクメンのように頑固なまでのこだわりが無く(文様に)色々モチーフを取り入れるため、相当の数を見ないと分類は難しいかもしれませんね。ヤコブハニはヘラート周辺支族で、評価の高い絨毯を織る事で有名ですね。私も最も好きなヘラート~アドラスカン~シンダンドなど絨毯を見ながらを一緒に旅することが出来たらいいですね。
いつか また どこかで
by charsuq
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オールド・アンティークのトライバルラグ&テキスタイルを販売しています。非売品もあり、ほとんどは値段を表示していませんが、お気軽にお尋ねください。Gallery Forest
1.私へのメールはこちら。その際はタイトルに「旅と絨毯とアフガニスタン」の文字を入れてください。そうでなければ見ずに削除してしまうかもしれません。
2.写真の無断転載禁止。
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