遊牧民の用と美 「キリム展 PartⅣ」 を訪れて
名古屋に行って来た。
知人のSさんより展示会の案内をいただき、今まで見せてもらっていないものも多くあるだろうと期待していた。
住所から最寄り駅を探すとJR神領駅が近いようだったが、歩くと30分くらいかかった。そのくらいは平気なのだが、そのことを話すと歩いてくる人は皆無のようで、大曽根駅からバスがでていて西小学校前から徒歩2分ということをあとで知った。
ギャラリーのオーナーは気さくな方で一緒に昼ご飯を食べに行こうと誘ってくれた。スパゲティーでいい?と聞かれたので僕たちは普通のそれを想像し、ええいいですね、と答えた。しかし、それはすごいものだった。「あんかけスパゲティー」で十数種類がメニューとしてある。トッピングがエビフライやハンバーグというものまである。「これが名古屋か!」と僕は驚くばかりだった。全て食べた中でホワイトソースが一番というオーナーと同じものを僕たちも注文した。あんかけといっても中華風のあんかけではなく、どうやらデミグラスソースがベースであるようだ。太い麺とホワイトソースがからみ何とも不思議な味だった。味噌煮込みうどんを食べる地域の人ってこういうものが好きなんだ、と思ったのだった。
雨のときはお客さんが少ないこともあり、じっくりとものを見せてもらうことができた。DMには「キリム展」とあるが絨毯もたくさんあった。今回は新しいものも持ってこられていたのだが、やはり感じたことは古いもののそれとの違いであった。古いものでも商業用のものと自家用のものとは違いがあった。好みの違いこそあれ、多くを見ていくと商用目的ではない部族・遊牧民のオリジナルのものは地域を越えてどれも素晴らしいことがわかる。ただ、日本ではまだまだマイナーなものであり、Sさんは何とかその良さを研究会、ブログ、展示会などで伝え続けている。
「絨毯やキリムを購入してくれるのは、ほとんど女性なんですよ。ただ、女性の場合は家の特定の場所で敷く目的で買うから、ある程度の枚数以上はなかなか買ってくれない。しかし、男性はそれが敷く場所があるのか気にせず、もの自体に魅せられる場合が多いので、その収集は終わりがない。欧米では男性がマーケットを支えているが、日本ではね・・・。」
この言葉はよくわかる気がする。焼き物や絵画を鑑賞する「眼」が日本人にあるのに、何故トライバルラグがあまり評価されないのだろうか。
「それは日本では売れない、と業者自身が思っていて、手を出さないからだよ。でもジャパンテックスでは面白いことがあったんだ。若い20代はすんなりとブースに入ってくるんだね。たぶんトライバルラグが発する何かを感じ取ったんだね。それを面白いと思ってくれる人はいるんだよ。それを広めてこなかったから売れないんじゃないかな。」
いろいろと話しを聞かせていただき、たくさんのものを見せてもらった。
夕食はオーナーの自宅でおでんをご馳走になってから、僕は帰った。
「彼に絨毯屋になるようにずいぶんとすすめているんだけどね」
はじめてSさんにお会いし、奈良で飲んだときもそんなことをおっしゃっておられたことを思い出した。僕は電車の窓の向こうをぼんやりと眺めながら、そういえば僕は長い旅のなかで確かに将来は絨毯屋になりたいと考えたことがあったことを思った。出会いと再会がこのまま続いていけば、いつのまにか僕は絨毯屋になっているのだろうか?
名古屋周辺にお住いでご興味がある方にギャラリーの場所をお知らせ致します。
--------------------------------------------------------
名古屋市守山区吉根日の後132-9
ギャラリー冬青(そよご)
Tel:052-739-0028
「キリム展 PartⅣ」 2006年12月8日(金)~12月14日(木)
AM10:00~PM5:00 最終日PM4:00まで
知人のSさんより展示会の案内をいただき、今まで見せてもらっていないものも多くあるだろうと期待していた。
住所から最寄り駅を探すとJR神領駅が近いようだったが、歩くと30分くらいかかった。そのくらいは平気なのだが、そのことを話すと歩いてくる人は皆無のようで、大曽根駅からバスがでていて西小学校前から徒歩2分ということをあとで知った。
ギャラリーのオーナーは気さくな方で一緒に昼ご飯を食べに行こうと誘ってくれた。スパゲティーでいい?と聞かれたので僕たちは普通のそれを想像し、ええいいですね、と答えた。しかし、それはすごいものだった。「あんかけスパゲティー」で十数種類がメニューとしてある。トッピングがエビフライやハンバーグというものまである。「これが名古屋か!」と僕は驚くばかりだった。全て食べた中でホワイトソースが一番というオーナーと同じものを僕たちも注文した。あんかけといっても中華風のあんかけではなく、どうやらデミグラスソースがベースであるようだ。太い麺とホワイトソースがからみ何とも不思議な味だった。味噌煮込みうどんを食べる地域の人ってこういうものが好きなんだ、と思ったのだった。
雨のときはお客さんが少ないこともあり、じっくりとものを見せてもらうことができた。DMには「キリム展」とあるが絨毯もたくさんあった。今回は新しいものも持ってこられていたのだが、やはり感じたことは古いもののそれとの違いであった。古いものでも商業用のものと自家用のものとは違いがあった。好みの違いこそあれ、多くを見ていくと商用目的ではない部族・遊牧民のオリジナルのものは地域を越えてどれも素晴らしいことがわかる。ただ、日本ではまだまだマイナーなものであり、Sさんは何とかその良さを研究会、ブログ、展示会などで伝え続けている。
「絨毯やキリムを購入してくれるのは、ほとんど女性なんですよ。ただ、女性の場合は家の特定の場所で敷く目的で買うから、ある程度の枚数以上はなかなか買ってくれない。しかし、男性はそれが敷く場所があるのか気にせず、もの自体に魅せられる場合が多いので、その収集は終わりがない。欧米では男性がマーケットを支えているが、日本ではね・・・。」
この言葉はよくわかる気がする。焼き物や絵画を鑑賞する「眼」が日本人にあるのに、何故トライバルラグがあまり評価されないのだろうか。
「それは日本では売れない、と業者自身が思っていて、手を出さないからだよ。でもジャパンテックスでは面白いことがあったんだ。若い20代はすんなりとブースに入ってくるんだね。たぶんトライバルラグが発する何かを感じ取ったんだね。それを面白いと思ってくれる人はいるんだよ。それを広めてこなかったから売れないんじゃないかな。」
いろいろと話しを聞かせていただき、たくさんのものを見せてもらった。
夕食はオーナーの自宅でおでんをご馳走になってから、僕は帰った。
「彼に絨毯屋になるようにずいぶんとすすめているんだけどね」
はじめてSさんにお会いし、奈良で飲んだときもそんなことをおっしゃっておられたことを思い出した。僕は電車の窓の向こうをぼんやりと眺めながら、そういえば僕は長い旅のなかで確かに将来は絨毯屋になりたいと考えたことがあったことを思った。出会いと再会がこのまま続いていけば、いつのまにか僕は絨毯屋になっているのだろうか?
名古屋周辺にお住いでご興味がある方にギャラリーの場所をお知らせ致します。
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名古屋市守山区吉根日の後132-9
ギャラリー冬青(そよご)
Tel:052-739-0028
「キリム展 PartⅣ」 2006年12月8日(金)~12月14日(木)
AM10:00~PM5:00 最終日PM4:00まで
by charsuq
| 2006-12-10 09:52
| 絨毯 キリム
|
Comments(2)
Commented
by
tribe
at 2006-12-13 08:53
x
この前は遠いところまた雨のなかありがとうございました。
冬青さんにこのブログを見ていただきました。さすがに写真が上手だと喜んでおられました。帰ったらブログ再開しようと思っています。
冬青さんにこのブログを見ていただきました。さすがに写真が上手だと喜んでおられました。帰ったらブログ再開しようと思っています。
0
Commented
by
charsuq at 2006-12-14 20:56
みなさんの写真も撮ればよかったですね。
先日の雨は僕にとってはよかったのですが、日曜日以降の出足はいかがでしたでしょうか?アットホームないいギャラリーだと思いましたので、お客さんも自然と集まってくるように感じました。
ブログの再開を楽しみにしています。
先日の雨は僕にとってはよかったのですが、日曜日以降の出足はいかがでしたでしょうか?アットホームないいギャラリーだと思いましたので、お客さんも自然と集まってくるように感じました。
ブログの再開を楽しみにしています。
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by charsuq
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オールド・アンティークのトライバルラグ&テキスタイルを販売しています。非売品もあり、ほとんどは値段を表示していませんが、お気軽にお尋ねください。Gallery Forest
1.私へのメールはこちら。その際はタイトルに「旅と絨毯とアフガニスタン」の文字を入れてください。そうでなければ見ずに削除してしまうかもしれません。
2.写真の無断転載禁止。
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2.写真の無断転載禁止。
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