西大台 2012.6.8
現在、利用調整区域に指定され入山が制限されている大台ヶ原の西大台地区。人数が制限され、事前に手続きを行い、レクチャーを受けてからしか立ち入ることができない。
平成19年9月から運用され、一日あたりの立入人数は利用集中期で土日祝100人平日50人、それ以外の期間は土日祝50人平日30人とされている。申請は上北山村商工会議所に申請書の送付と手数料1000円の振込みが必要だ。いろいろな意見があるだろう。お金を払ってまでと思わなくもないが、一度は行ってみたかった場所だから申請することにした。
しかし、ドライブウェイが通行止めにならない限り、入山日の変更は不可であり、手数料も返金されない。今日は午後から雨予報。中止にした方も多かったのではないだろうか。自宅を5時半に出発して、駐車場に着いたのは8時前だった。車は数台停まっているのみ。シャクナゲの見頃が過ぎ、こんな天気だからなあ。
レクチャーは一番早い時間で8時半から(集中期の土日祝は7時半から)。受講は僕ひとり。若いお姉さんが15分くらい利用にあたってあれこれ説明されていた。受講印に「大台ヶ原山椒太夫くん」のホットスタンプが押され、その認定証を首からぶら下げ出発した。なんだか、違和感あるなあ・・・。
車のトランクを開けようとしたときエゾハルゼミを見つけた。死んでるの?と手に取ったところ小さな体を震わせていた。しばらく綺麗な姿を観察させてもらい、空に放ってやった。トイレに立ち寄ったとき、ドアに小さな珍しい蛾がとまっていた。なんて言うんだ?こいつは(いま調べているところ)。虫のことはまだほとんど知らない。
しかし、去年から興味が出てきて少しずつその世界を知ることができればと思っている。あれは天理市の龍王山だった。かわった虫やなあと思ったのがビロードハマキだった。先週、行者還岳を歩いていると大きな蛾が死んでいた。花に詳しい同行の方に尋ねると「う~ん、レディー・ガ・蛾?」と答えが返ってきたが、帰宅後調べるとヤママユガ科のオオミズアオだった。
こんなところでちんたらしているばやいではないが、こんなことが僕にとっては面白いんだ。さて行くか。大台教会の手前を下ると監視員の方がいる。認定証を提示し、マットで靴裏の泥を落とす。外来の種子の持込を防ぐためだそうだが、どれほど効果があるのやら。分岐から七ツ池への道を選択する。
松浦武四郎碑はパス。ツリガネダケが生えていたのはブナだったか?苔で覆われていて詳しく観察せず。地に咲く花はギンリョウソウだけ。低木のミヤマシキミがところどころに生えている。ブナの木にはエゾハルゼミの抜け殻が多い。
木の名前はわからないものが多いが、ブナ、ミズナラ、オオイタヤメイゲツ、ウラジロモミ(トウヒ?)を主体とした森はいい感じだ。池のない七ツ池をすぎたあたりからは特にいい。苔生した大台らしい風景が続く。いいなあ、こんな森をひとり静かに歩けるなんて(1000円かかっているが)。
高野谷がぶつかる開拓地跡で10名の団体さんに会う。前日までにレクチャーを受けられ入山は8時と早いご出発。あとをついていくのは嫌だから先を歩く。広々としたこの界隈はいい。水が流れ、潤いがあり、人をほっとさせる雰囲気がある。午後から雨予報でなければ、ここでぼけ~っとしていたいが、今日は残念だがそれなりに先を急がねばならぬ。
バイケイソウの群生地を歩いているとき霧が濃くなりはじめた。向こうから腕章をはめた方が歩いてくる。「こんにちは。監視員のナカムラです。認定証を見せてください」とおっしゃる。彼にミズナラの大木までの距離を尋ねる。開拓分岐から600mくらい、展望台までは800mとのこと。15-20分くらいだな。彼と別れてからしばらくして小雨が降ってきた。まだ本降りにはならないだろう。
これだと展望台まで行けるな。先を急ごう。はあ、はあ、と少し息切れしながら登っていく。ガスに包まれ陶然としながら、雨の大台を味わっていた。そして、憧れのミズナラさんとごたいめーん♪期待通りちゃーみんぐな木だった。幹に手のひらをあて、梢を見上げた。そのとき思わず飴を飲み込みそうになった・・・。
展望はなくとも展望台に行ってみる。天気がよければここから大蛇グラが間近に見えるらしい。こんな天気に目指すところでもないが、ブナ、ミズナラ、ヒメシャラなどが適度な距離を保っていて、いい雰囲気だった。
その後、あのミズナラの木に寄り添ってしばらく休憩していた。団体さんが来たら写真を撮ってもらおう。この木の横でおニューの赤いレインウエアを着て。しかし、待てども彼らは来ない・・・。小雨のため予定変更か。三脚は持っていないから写真は諦め、下山開始。しっとりと濡れそぼった森は生気を取り戻して美しく、僕は何度も足を止めた。こんなことろに何度も来ることができればなあ。
雨はしとしと。雨足に合わせて僕もとぼとぼ歩く。開拓分岐から二つめの赤い橋のたもとでシロヤシオの花が雨に濡れていた。もうこの花を今年は見ることができないのだろうかと思ったとき、いっそうこの花をいとおしく思った。
ここから石が多い登りが続く。どんな風景があったのか、8時間前のことなのに詳しく思い出せない。だって、よく似た風景が続くんだもの。その間ずっと僕はブナを見、苔を見、森を見、ていた。ヤマツツジはまだ咲いているんだな。ずっと森を歩いていたから、赤の色が新鮮だった。
いい森だった。1000円払うことにまだ抵抗はあるが、またいつか歩くかもしれない。そのときは今日のように少し雨に濡れながら歩きたいな。
【コースタイム】
駐車場地(8:50)~七ツ池(9:50)~開拓分岐点(10:40)~展望台(11:55)~開拓分岐点(11:20)~駐車場地(13:00)
平成19年9月から運用され、一日あたりの立入人数は利用集中期で土日祝100人平日50人、それ以外の期間は土日祝50人平日30人とされている。申請は上北山村商工会議所に申請書の送付と手数料1000円の振込みが必要だ。いろいろな意見があるだろう。お金を払ってまでと思わなくもないが、一度は行ってみたかった場所だから申請することにした。
しかし、ドライブウェイが通行止めにならない限り、入山日の変更は不可であり、手数料も返金されない。今日は午後から雨予報。中止にした方も多かったのではないだろうか。自宅を5時半に出発して、駐車場に着いたのは8時前だった。車は数台停まっているのみ。シャクナゲの見頃が過ぎ、こんな天気だからなあ。
レクチャーは一番早い時間で8時半から(集中期の土日祝は7時半から)。受講は僕ひとり。若いお姉さんが15分くらい利用にあたってあれこれ説明されていた。受講印に「大台ヶ原山椒太夫くん」のホットスタンプが押され、その認定証を首からぶら下げ出発した。なんだか、違和感あるなあ・・・。
車のトランクを開けようとしたときエゾハルゼミを見つけた。死んでるの?と手に取ったところ小さな体を震わせていた。しばらく綺麗な姿を観察させてもらい、空に放ってやった。トイレに立ち寄ったとき、ドアに小さな珍しい蛾がとまっていた。なんて言うんだ?こいつは(いま調べているところ)。虫のことはまだほとんど知らない。
しかし、去年から興味が出てきて少しずつその世界を知ることができればと思っている。あれは天理市の龍王山だった。かわった虫やなあと思ったのがビロードハマキだった。先週、行者還岳を歩いていると大きな蛾が死んでいた。花に詳しい同行の方に尋ねると「う~ん、レディー・ガ・蛾?」と答えが返ってきたが、帰宅後調べるとヤママユガ科のオオミズアオだった。
こんなところでちんたらしているばやいではないが、こんなことが僕にとっては面白いんだ。さて行くか。大台教会の手前を下ると監視員の方がいる。認定証を提示し、マットで靴裏の泥を落とす。外来の種子の持込を防ぐためだそうだが、どれほど効果があるのやら。分岐から七ツ池への道を選択する。
松浦武四郎碑はパス。ツリガネダケが生えていたのはブナだったか?苔で覆われていて詳しく観察せず。地に咲く花はギンリョウソウだけ。低木のミヤマシキミがところどころに生えている。ブナの木にはエゾハルゼミの抜け殻が多い。
木の名前はわからないものが多いが、ブナ、ミズナラ、オオイタヤメイゲツ、ウラジロモミ(トウヒ?)を主体とした森はいい感じだ。池のない七ツ池をすぎたあたりからは特にいい。苔生した大台らしい風景が続く。いいなあ、こんな森をひとり静かに歩けるなんて(1000円かかっているが)。
高野谷がぶつかる開拓地跡で10名の団体さんに会う。前日までにレクチャーを受けられ入山は8時と早いご出発。あとをついていくのは嫌だから先を歩く。広々としたこの界隈はいい。水が流れ、潤いがあり、人をほっとさせる雰囲気がある。午後から雨予報でなければ、ここでぼけ~っとしていたいが、今日は残念だがそれなりに先を急がねばならぬ。
バイケイソウの群生地を歩いているとき霧が濃くなりはじめた。向こうから腕章をはめた方が歩いてくる。「こんにちは。監視員のナカムラです。認定証を見せてください」とおっしゃる。彼にミズナラの大木までの距離を尋ねる。開拓分岐から600mくらい、展望台までは800mとのこと。15-20分くらいだな。彼と別れてからしばらくして小雨が降ってきた。まだ本降りにはならないだろう。
これだと展望台まで行けるな。先を急ごう。はあ、はあ、と少し息切れしながら登っていく。ガスに包まれ陶然としながら、雨の大台を味わっていた。そして、憧れのミズナラさんとごたいめーん♪期待通りちゃーみんぐな木だった。幹に手のひらをあて、梢を見上げた。そのとき思わず飴を飲み込みそうになった・・・。
展望はなくとも展望台に行ってみる。天気がよければここから大蛇グラが間近に見えるらしい。こんな天気に目指すところでもないが、ブナ、ミズナラ、ヒメシャラなどが適度な距離を保っていて、いい雰囲気だった。
その後、あのミズナラの木に寄り添ってしばらく休憩していた。団体さんが来たら写真を撮ってもらおう。この木の横でおニューの赤いレインウエアを着て。しかし、待てども彼らは来ない・・・。小雨のため予定変更か。三脚は持っていないから写真は諦め、下山開始。しっとりと濡れそぼった森は生気を取り戻して美しく、僕は何度も足を止めた。こんなことろに何度も来ることができればなあ。
雨はしとしと。雨足に合わせて僕もとぼとぼ歩く。開拓分岐から二つめの赤い橋のたもとでシロヤシオの花が雨に濡れていた。もうこの花を今年は見ることができないのだろうかと思ったとき、いっそうこの花をいとおしく思った。
ここから石が多い登りが続く。どんな風景があったのか、8時間前のことなのに詳しく思い出せない。だって、よく似た風景が続くんだもの。その間ずっと僕はブナを見、苔を見、森を見、ていた。ヤマツツジはまだ咲いているんだな。ずっと森を歩いていたから、赤の色が新鮮だった。
いい森だった。1000円払うことにまだ抵抗はあるが、またいつか歩くかもしれない。そのときは今日のように少し雨に濡れながら歩きたいな。
【コースタイム】
駐車場地(8:50)~七ツ池(9:50)~開拓分岐点(10:40)~展望台(11:55)~開拓分岐点(11:20)~駐車場地(13:00)
by charsuq
| 2012-06-09 11:32
| 登山 台高山系
|
Comments(0)
いつか また どこかで
by charsuq
トライバルラグの販売サイト
オールド・アンティークのトライバルラグ&テキスタイルを販売しています。非売品もあり、ほとんどは値段を表示していませんが、お気軽にお尋ねください。Gallery Forest
1.私へのメールはこちら。その際はタイトルに「旅と絨毯とアフガニスタン」の文字を入れてください。そうでなければ見ずに削除してしまうかもしれません。
2.写真の無断転載禁止。
1.私へのメールはこちら。その際はタイトルに「旅と絨毯とアフガニスタン」の文字を入れてください。そうでなければ見ずに削除してしまうかもしれません。
2.写真の無断転載禁止。
カテゴリ
全体自己紹介
My collection
絨毯 キリム
アフガニスタン
Photo album
じゃらんじゃらん
ブータン
旅
染織と民族衣装
雑記
奈良のこと
美術館 博物館 イベント
読書灯
登山 大峰山系
登山 台高山系
登山 葛城・金剛・紀泉
登山 鈴鹿山系
登山 近畿その他
登山 あれこれ
植物
昆虫
樹木
樹に咲く花
山と野に咲く花
動物 鳥
シダ
食
酒
虫こぶ
イモムシ
きのこ
猫
日本酒(家飲み)
日本酒(外飲み)
銀の街へ
男子の厨房
家族
以前の記事
2024年 03月2024年 01月
2023年 11月
2023年 08月
2023年 07月
more...
お気に入りブログ
イスラムアート紀行部族の絨毯と布 caff...
奈良今昔物語
日本酒のおと
最新のコメント
今週は二日もお会いしまし.. |
by charsuq at 08:57 |
今日日本酒と私でご一緒さ.. |
by fmyr1107 at 21:17 |
鍵コメント様 ok。ま.. |
by charsuq at 20:35 |
奥羽自慢をブログで紹介し.. |
by 奥羽自慢 at 08:35 |
やまぞえくん やっぱ、.. |
by charsuq at 22:15 |
蠍座には私も足繁く通って.. |
by やまぞえ at 00:11 |
じんじさん、僕が1歳のと.. |
by charsuq at 22:19 |
74年に外語卒業前に初め.. |
by じんじ at 11:59 |
じんじさんは猫好きだった.. |
by charsuq at 20:44 |
私が勝っていた猫は白いヒ.. |
by じんじ at 23:08 |