009 アフガニスタン西部の絨毯

2017年の展示会に久しぶりに持っていきましたが、存在感のある美しい絨毯ですね。

この絨毯は2005年にヘラートで買ってから陸路でカンダハール、クエッタまで持ち運んだ思い出の絨毯です。舗装されていない道をヘラート、ファラー、ヘルマンドを通ってカンダハールに着き、そこで数日を過ごしたのちスピンボルダックをこえてパキスタン領内に入ったとき「ああ、助かった!」と思わず言葉が出てしまいました。そのときの旅が過酷だったのか、カラチの空港に着いたときはふらふらで、荷物検査では「お前、なんだ!こんな重い荷物は!開けて説明せえ!」と言われましたが、もう話す気力もなくその場でしゃがみ込んでしまい医者を呼んでもらうはめになりながらも担いで持って帰った1枚なのです。

この絨毯を現地の絨毯商人たちは「ムシュワニ」と呼びます。それは織り手が属する部族の名前なのですが、波のような文様でシックな色調の毛織物が多いです。これを「蛸唐草」と言う人がいましたが、日本人にとっても不思議と落ち着く文様だと思います。バルーチ族はバルーチ語(とブラフィー語)を話す人たちの部族連合だと言われていますが、ムシュワニ、バールリ、テイムリーなどの部族もそのひとつです。

この波のような文様はジェームズ・オピエ氏が自著で述べている「動物の頭」がかたちを変えていったものではないかと私は考えています。ザボールの絨毯には「動物の頭」のかたちがうかがえますが、角がとれて丸くなっていったように感じるのです。これは想像でしかないのですが、いろいろな地域のトライバルラグを知るにつれそんなことを思うようになっています。

爬虫類学者でバローチ絨毯の愛好家であるジェリー・アンダーソン氏は「ムシュワニはハザール・ハーン国(7世紀から10世紀にかけてコーカサス北部で繁栄した騎馬民族国家)の崩壊後にコーカサス地方からやってきた」と述べています。その真偽についてはわかりませんが、バルーチ族のあるグループは西のほうから移動してきたと言われます。

この絨毯はアフガニスタン西部のファラー州またはヘラート州南部で織られたものでしょう。わりと古いものでおそらく1940年前後かもう少し前のものかもしれません。黒色のパイルは他のそれに比べて短くなっているところが多く、一部はほとんどパイルがないくらい短いところがあります。おそらく染めるときに鉄を媒染剤として使ったため繊維が劣化しやすくなっているのでしょうね。青と紫が天然染料かはわかりませんが、とても美しい色合いです。フリンジ部は片側はオリジナルで残っていますが、もう一方は残念ながらありません。また黒いしみのようなものが一箇所あります。それでも古い絨毯のわりにはコンディションはよくパイルも長く残っていますしとても気持ちいい肌触りです。

サイズ:129x284cm
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# by charsuq | 2017-07-10 21:22 | My collection | Comments(0)

Photo album 46 _ Cairo , Egypt (1999)

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# by charsuq | 2017-07-09 18:20 | Photo album | Comments(0)

サトクダマキモドキ

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# by charsuq | 2017-07-08 13:16 | 昆虫 | Comments(0)


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