「タブロイド」 セバスチャン・コルデロ監督

 メキシコ・エクアドル合作の映画で、原題は「Cronicas」。
携帯サイズのスペイン語辞典で調べてみると「報道番組」とあり、「タブロイドTV」からこの邦題がつけられたようだ。

 ストリングスの効いたギターとベースの調べでこの映画は始まる。舞台は南米エクアドル。少年たちを拷問しレイプしたあとで殺害するという惨たらしい連続殺人事件が発生している。事件を報道するためにTVクルーがマイアミからやってくる。そんなときに街中で少年が自動車にはねられる事故があり、少年の父親やまわりの野次馬たちはドライバーに殴る蹴るの暴行を加える。その場に居合わせた彼らはカメラを回し、本国にその映像が配信される。

 事故を起こしたドライバーは刑務所から出してくれることを条件にジャーナリストたちに連続殺人の犯人の情報を与えると取引をもちかける。これはスクープになるネタであり、ジャーナリストであれば飛びついてしまう話なのであるが、この時点で映画を観ている僕たちには犯人が誰であるかがわかっている。クルーたちはもしかしたらインタビューをしている彼こそが犯人なのではないか、と疑っているのであるが、確証を得られないまま、取引の見返りに「少年は自動車にはねられて死んだのではなく、彼は冤罪だ」という報道をしてしまう。

 その後、後味の悪い結末へと導かれるのだ。

 個人的には連続殺人を扱った映画はあまり好きではないが、この映画は編集次第でもう少し違った感想を抱いたかもしれない。なにせオープニングでいきなり犯人がわかってしまうのだから、いくら音楽や映像、演技がよくても違和感を感じるのは当たり前だと思う。しかし、この一本でこの監督を評価するべきではないだろう。以前の「天国の口、終りの楽園」はレンタルビデオ店でパッケージは目にしたことがあったが、明るい(?)ロードムービー風だった。いつか時間があるときに観てみようと思う。

 
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# by charsuq | 2006-02-22 23:51 | 銀の街へ | Comments(0)

Photo album 3 _ Quetta , Pakistan (2000)

 拡大してご覧になりたいかたは、写真をダブルクリックしてください。
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# by charsuq | 2006-02-22 05:46 | Photo album | Comments(2)

アフガニスタンの風 ~バロチスターン:クエッタ~ 1

 以下は財団法人 日本・パキスタン協会の会報「パーキスターン」No.202に掲載されたものです。これは知人の知人より原稿を頼まれて西南パキスタンのバロチスターン州のクエッタについて書いたものです。パキスタンに興味があり会員になりたい方は下記住所に連絡してみてください。

財団法人 日本・パキスタン協会
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-29-14 伊藤第2ビル202号
Tel:03-5327-3588
E-mail: nippa50@d1.dion.ne.jp

 なお、写真は削除しますが、いずれ「Photo album」で紹介します。

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■ その出会い

 一九九八年の初冬、僕はラホールからクエッタに向かう列車に乗り込んだ。インドから国境を超えたその日に何故遠くの街を目指したのかうまく説明できないが、インド的な香りのする大都会ではなく、もっと荒涼とした大地に対する憧れがあったからだと思う。「バロチスターン」そこをわざわざ目指す旅人はほとんどいないであろうが、僕にとっては、パキスタンの中で最もアフガニスタンの雰囲気を味わうことができ、魅惑的な地域のように思われた。二泊三日かかる列車の中で僕が確保できたのは、座って足を伸ばせるだけのわずかなスペースだけであり、隣の人の肩にもたれながら眠るしかなかった。夜の車内に吹き込んでくる風は冷たく、カシミールで手に入れたポンチョを着込んでもまだ寒さを我慢することができなかったが、まわりの様々な民族の人たちが魅力的であったので、列車の旅はとても楽しいものであった。

 列車がバロチスターンに入ってからは、車窓からの風景は一変した。真っ青な空、沙漠に荒々しい岩山が連なるその大地に、豊かな南アジア世界から乾燥した西アジアに突入したのだと感じた。クエッタの街に近づくにつれ、カラフルな衣装を着た子ども達が笑顔いっぱいで手を振ったり、懸命に追いかけてくる様に僕の心は熱くなっていた。その車窓からの風景は旅をするものにとって、ほとんど完璧と言っていいようなものだった。これから何か面白いことが始まりそうな予感に胸を膨らませ、駅に降り立った。

 クエッタの街は多くの旅行者を惹きつける魅力に乏しいかもしれないが、少数の人間を夢中にさせる何かがある気がした。それが何であるのかを確かめるために、僕はひたすら歩き、行き先もわからないまま街を走るバスに飛び乗った。これといって観光名所もなく、はっきりといって「何もない街」ではあるが、人々の営みを眺めているだけで十分に楽しい、そんな不思議な魅力があった。ここはパキスタンであるにもかかわらず僕と同じような顔をしたハザラ族が多く住み、市内や郊外にはターバンを巻いて鬚を伸ばし、彫りが深くちょっと強面のパシュトゥン族やバローチ族が多くいた。絨毯や羊、ロバを扱う職業にはウズベク族やトルクメン族がたずさわっていた。アフガニスタンのクラシックな雰囲気が存分にあり、「人間の魅力」に満ち溢れていた。肉屋には羊肉や牛肉がぶら下がっており、家畜市の帰りのバスには羊が車内に連れ込まれ、荷台に大量の荷物を積んだロバ車が市内を走っていた。シンプルな生活であるダイナミックさをいたるところで感じることができた。また、何よりもこの街には「男しかいないのか」と思うほど、特定の場所を除いて女性の姿を見かけることが少なかったのにはびっくりしたが、何日か過ごすにつれ、その状況にもあまり違和感を感じなくなっていた。

 夕方になり商店が閉まる時間になると、店の中や路上でショールを広げて祈りをささげたり、マスジェドに多くの人が礼拝に行く行為が人々の暮らしの中に当たり前のように存在していた。なにげない日常の営みのひとつひとつを愛しく思いながら、生き生きとしたイスラーム世界を心地よく感じながら、この街での滞在日数がいつの間にか長くなっていた。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-02-21 20:33 | | Comments(2)


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