チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 7

 まず現地の友人に会うために「チキンストリート」で降りる。絨毯屋の中には友人のサレがいた。彼はお兄さんのイサックとふたりで商売をしている。以前はパキスタン・クエッタにも店舗があり、カブールとクエッタの店を交替で行き来していたのだが、最近クエッタからアフガン南部のカンダハールに引っ越したようだった。昨年の旅ではサレに会えなかったので2年半ぶりの再会だった。

 「おっ~!ヤス、久しぶりだな。昨日、店の前をよく似た日本人が通り過ぎたので、お前かと思って外に駆け出したことがあったんだぜ」
本当かリップサービスかよくわからなかったが、再会を喜びあった。チャイをご馳走になりながら近況を報告する。

 たぶん彼の部屋に泊めてもらうことになるだろうから、バックパックを店に置いてすっかり寛ぎモードでごろんと寝転がり、いろいろと積もる話しをしていた。昼ご飯をご馳走になってから絨毯を見せてもらう。これって高いんやろな~と思うようなものもあり、手が出ないと判断したものを除いて、自分が気に入ったものをピックアップした。あとでもう一度確認して値段を聞くことに。

 彼から聞いた絨毯についての話をひとつ。

 以前、トルクメン族のサブトライブ・ベシールの礼拝用絨毯を見せてもらったことがある。これはブログで紹介したのだが、彼はそのときアメリカ人女性に8,000ドルで売ったらしい。その後、彼女はイタリアでの展示会にそれを持っていったところ、何と25,000ドルで購入したいとのオファーがあったようだ。それでも彼女は売らなかったらしい。
 「アメリカやヨーロッパの人間は本当にいいコレクションを持っているよ」
と彼は言う。確かにそうなのかもしれない。日本で部族絨毯の高額なものを持っていても、それを認めてその値段が妥当であるのかを判断できる人ってかなり少ないように思うからだ。

 これにはまだ続きがある。

 「ヤス、あの絨毯はパキスタンで今よく出回っているぜ」
と彼は言うのだ。どういうことなんだ、と尋ねると次のようなストーリーだった。
あの絨毯は少しリペア(修理)が必要だったので、パキスタン・クエッタのリペアマンに修理を頼んだ。少しの修理なので当日や翌日に出来あがるはずだったが、どうやら彼はその文様を丹念にメモを取っていたため何かと理由をつけて、修理が完成したのは数日後だったようだ。
そのメモをもとにコピーを大量に製作したというのだ。

 カブールで絨毯屋を何軒か見て回ったときに、確かにそのデザインのものがあり、古いものであるかのように加工されていた。ショップキーパーたちに値段まで聞かなかったが、パキスタンでもアフガニスタンでも絨毯に手を加えて古いものであるかのように売られているものが少なくないことは事実である。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-14 10:00 | | Comments(4)

チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 6

 4時20分、起きる。パッキングをしてチェックアウト。
タクシーでTerminal2へ。早朝のこのターミナルはがらすきでチェックインもすぐに終わる。

 カブール、バグダッド、イラン各都市を結ぶ飛行機が離発着しているようだ。6時半のボーディングまで本を読んで時間をつぶす。

 120~150人乗りの小さな機体であったが、多くの外国人が搭乗しておりほぼ満席。
「ごおっ~」とものすごい音をたてて滑走路を加速していく。このままずっと走り続けるのではと思うほど車輪がなかなか地面を離れなかったが、ようやく「よっこらしょ」という感じで離陸。

 となりは空席だったので、食事のとき以外はほとんど窓の外の風景を眺めていた。茶褐色の大地と荒々しい岩山の風景が続く。1時間半ほど経ったころだろうか、雪が残る山々が見えた。ヒンズークシ山脈上空にさしかかったのだろう。今年の雪は多かったのだろうか。冬が厳しいほど雪解けの水が大地と民にめぐみと春の喜びを与えるのだろう、と想像する。
f0057070_9283080.jpg

 現地時間で10時。いつの時代のものだよ、と思うようなプロペラ機が並ぶカブール空港に到着した。思っていたよりも暑い。ターミナルに入り入国審査の順番を待っているとき、テレビ画面のなかでカルザイ大統領がスタジアムにいる群衆に向かってスピーチをしていた。あとで友人に聞いて知ることになるのだが、4月28日はナジブラ政権が崩壊しイスラーム連立政権が発足した「ムジャヒディン・デイ」で、僕が到着した前日にその14周年のセレモニーが行われたようだ。

 なんだかな、僕は複雑な気持ちで友人からの説明を聞いたのだった。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-13 09:32 | | Comments(4)

チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 5

 ディラ・スーク周辺でレストランを探す。チキンがオーブンの中でグルグルと回っている店、ドネルケバブの店はよく目にしたが、できるのならご飯を食べたかった。あきらめずに探していると路地を入ったところに「restaurant」の看板が見えたので入り口まで行くと、メニューにseafoodがあった。それほど高くなさそうだったので入ることにした。

 「seafoodは何があるんですか?」
と尋ねると
 「○○フィッシュ、クラブ、スクイード、シュリンプ・・・」
といろいろあるようだったが、どんな調理方法なのかよくわからない。
まあいいや、「スクイードとライスをください」と僕はどんなイカ料理が出てくるのかわからないまま注文した。

 ハーブと数種類のスパイスで煮たようなものだった。野菜サラダがついてきた。少し辛かったが空腹にはちょうどいい刺激であり、おいしく頂いた。
 「食後は何を飲みますか?コーヒー?紅茶?」
と聞かれたのでコーヒーを頼む。予想通りミルクと砂糖たっぷりの甘いものだった。これで10.5Dh。帰り道、路上でアラビア式?トルコ式?どちらかよくわからないが、お猪口みたいたもので飲ませるコーヒー屋があり、口直しに。

 疲れていたのでホテルに戻ろうとしたが、もう一度クリークを見ておこうと歩いていくと、近くにカムエアーのオフィスを発見。カブール往復チケットを1460Dh(約400ドル)で購入する。PCで予約した様子もなく果たして搭乗できるのか、帰国便も確保できているのか不安だったので尋ねると
 「イエス、オフコース。ノープロブレム」
心配すんなよ、という感じだったが、少し早めに空港でチェックインしたほうが良さそうだなと思った。

 ふう~、疲れた。僕はこの日、9時半に眠りについた。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-12 20:25 | | Comments(0)


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