チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 10

 バーミヤン州に入ったところだろうか。チェックポイントがあり、警官が乗客を疑わしげにながめ、荷物を確認しはじめた。僕は寝たふりをしていたのだが、警官は一人の乗客の腕をつかみ尋問しようという姿勢を見せた。乗客の男性は怒りをあらわにして激しくやりだした。面倒は勘弁だ、といった様子でドライバーは笑顔で警官をなだめる。
「何が起こっているんだ」
と他の乗客に尋ねると
「なに、警官は彼のことが気に入らないんだよ」
と呑気に答えたので、それほど心配するほどではないんだな、と少し安心する。

 5時に出発したタウンエースがバーミヤンに到着したのは12時半だった。ドライバーや乗客たちに一緒にご飯を食べよう、と誘われ食堂に入る。メニューは何があるのと尋ねるとパラオとカバブしかない。カブールでヌールが作ってくれたパラオより各段に味は落ちたが贅沢を言えないので空腹を満たすために全て食べた。

 アフガニスタンでは宿とレストランを兼ねているところがほとんどで、おやじに部屋の値段を聞いてみる。雑魚寝だと無料のところもあるらしいが、できれば一人部屋が欲しかった。3つベットがある部屋は一泊10ドルするらしい。アフガニスタンは隣国のイランやパキスタンと比べて質の割には宿が高いのだ。3泊するから25ドルにしてよ、と交渉する。ベニヤ板で仕切られているだけの部屋はその値段でも高い気がしたが、仕方がない。

 今晩の宿が決まったので、部屋に荷物を置いて、まずは大仏があった場所に向かった。遺跡などにあまり興味のない僕でも間近に立てば少しは感慨深くなるかなと思っていたのだが「ふう~ん、こんなもんなんや」といった程度であった。ペルーに行ってもマチュピチュを訪れなかった僕の感想は多くの人にとって参考にならないと思うが・・・。
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 それから僕は強い日差しのもと、何か面白いことに出会うことに期待しながらバーミヤン渓谷をぶらぶらと歩きはじめた。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-18 20:31 | | Comments(0)

チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 9

 4月30日、5月1日もカブールに滞在した。

 滞在中にヘルマンド州でインド人技師が首を切断されて殺害されたことをニュースで知る。何よりも道路事情と治安を確かめるためにバーミヤン行きの乗り場に行ってみた。そこにはドライバーたちが集まっていて僕が必要とする情報は入手することができた。いつ何が起こるか、それは誰にも予測できないが、陸路で移動してもまず問題ないだろうと判断した。

 5月2日の朝、僕は乗合のタウンエースでバーミヤンに向かった。一人400アフガニー(約8ドル)。カブールの街を少し離れてからはずっと未舗装の道路を走る。窓の外に広がる風景は圧倒的で、バーミヤンに近づくにつれて空がどんどん青さを増していった。写真家の三井さんはその空の青さに思わず涙が出た、と書いておられたが、本当に呆然とするような美しさだった。
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(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-17 20:44 | | Comments(4)

チェイシング・アフガン2006 <ラフスケッチ> 8

 4月29日の土曜日。この日は結局、ほとんどサレの店にいた。
彼が雇っているトルクメンのヌールは晩御飯を作るために先に部屋に戻った。日没後、サレは礼拝をすませ、店を閉めた。
 日没後も車は走っているとはいえ、ほとんど街灯らしい街灯はなかった。僕たちは車に気をつけながら、でこぼこ道に足を取られないように注意しながら、歩いた。

 「ふだんは一日中店にいるので、これがいい運動になる」
とサレは言う。これってどこかで聞いたことがあるな、と記憶を辿っていくとちょうど1年前にイランのマシュハドでリペアマンのサレヒーが僕に言った言葉とほとんど同じだった。

 彼の部屋はマンションの5階であった。マンションといっても日本のような立派なものではなく、以前彼が住んでいた電気も通わずトイレの水も流れないようなボロよりかはまし、といった程度である。ただ、カブールの物価は高いらしく、サレは二部屋(キッチン、トイレ付き)に月250ドル払っている(一部屋を100ドルで貸しているらしい)。そこからは小高い山が真正面に見え、家々に灯る光の海に僕は少し感動した。夜でも車が行き交っており、治安もそれほど悪くなさそうに思えた。

 突然、窓の外で何かが光った。ドン、ドンと音がする。ロケット弾じゃないだろうな、とサレに尋ねると「たぶんもうすぐ雨が降るんじゃないか」と言う。
 するとしばらくしてから、ざあっ~と雨が降り始めた。ただ雨が降っているだけであるにもかかわらず、僕は何故かほっとした。雨に降られたカブールの街はしっとりと潤い、街がより一層美しく思えたのだった。
 さあ、もうすぐ夜の9時になるのに晩御飯はまだ出来ない。「ヌール、ゴロスナ・ショダム(お腹がすいたよ)」と思わず空腹に耐えきれずにせまいキッチンで料理している彼に言う。「あと5分待て」。おとなしく待ったが、もちろん出来あがったのは5分以上経った9時半だった。

 この日のメニューは忘れてしまったが、おそらく「ビンディー(おくら)」「カドゥ(うり)」の炒め煮?の二品にナンとチャイであった、と思う。

(つづく)
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# by charsuq | 2006-05-16 21:15 | | Comments(0)


いつか また どこかで


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