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2008展示会を振りかえる

 最終日の昨日は搬出があり、帰宅すると何もする気がおきず、そのまま倒れこむようにふとんに入った。売上には結びつかなかったが、自分の力を出しきった3日間だったと思う。頑張った「僕」にささやかながらご褒美をしてあげたかったので、今日は会社帰りに天神橋筋まで出て寿司屋「春駒」でひとり打ち上げをしてきた。職人さんたちを見ていると少し元気になったので、今回の展示会のことを振りかえろうという気持ちになった。

 3日目も人は多くなかった。朝に珍しく若い女性が入ってきて展示しているものを熱心に見ていた。聞くと自分で麻を織っているとのことだった。部族絨毯をゆっくりと見たのは初めてのようだったが、興味を持ってくれたようだった。「すべて素晴らしいですけど、わたしはこれとこれが特に好きです」と言ってくれたのはどちらもバローチのものだった。ひとつはイラン・ホラサーンのもの、もうひとつはアフガン西部・ムシュワニのもの。今回壁に掛けていたホラサーンバローチのものを好きという女性は何人かいたが、僕も購入したときよりも好きになっていた。「絨毯がこれほど素晴らしいものなんだということを知りました。今のわたしにはとても買えませんが、いいものばかりを見せてくださってどうもありがとうございました」という言葉を聞いて、僕が惚れて選んだものは間違いじゃないと改めて思ったのだった。

 昼にはわざわざ京都から歌手の阿部ひろ江さんが来てくださった。「平和を願う心の歌コンサート」で歌を聞かせてもらってからファンなのですが、どこか加藤登紀子さんを思わせる歌声に癒されるのです。最近行かれた中東(シリア、ヨルダン)での活動を聞かせてもらいはじめたときに人が入ってきて応対しているうちに、お忙しいため帰られて十分に話しをできなかったのは残念だった。とても申し訳なかった。今度京都でコンサートがあれば行こうと思う。
2008展示会を振りかえる_f0057070_21512316.jpg

 そうだ、もうひとり(カップルだからふたり)興味を持ってくれた人がいたんだ。たまたま入ってこられて、部族絨毯をはじめて見られたんだけど、「へえ、こんな絨毯があるんですね。ペルシャ絨毯なんかよりぜんぜんいいじゃないですか」と。女性も男性もとても穏やかそうで、ああこういう人にはきっとこういう絨毯が合うなあと感じた。先輩のSさんの「絨毯が人を選ぶということはあると思う。結局のところ自分(絨毯)を好きな人のところにしか行かないんじゃないかな」という言葉を思い出した。

 まあ、こんな感じで人が来て話して帰っていかれる。そして搬出はひとりきりで残った絨毯とキリムと向き合い折りたたんでいく。(今回は途中まで友人のBくんが手伝ってくれたけど・・・。)売れなかったのは絨毯が悪いわけでも、お客さんが悪いわけでもない。僕に力がなかっただけなのかもしれない。サボっていたときはあったけどここ最近はブログの記事をまめにアップしていたし、これを読んでくれている人がもう少し興味を持って展示会に来てくれると淡い期待をしていたし、今回は売れるんじゃないかと少し自惚れていたんだと思う。

 ブログから絨毯を見に行こうと思う人はほとんどいないという現実を知った二回目の展示会だった。
by charsuq | 2008-03-25 00:19 | 絨毯 キリム | Comments(6)
Commented by かなぐすく at 2008-03-25 01:21 x
charsuqさん、こんばんは。
展示会最終日「若い女性」と紹介していただいたかなぐすくと申します。
父が沖縄県糸満出身で苗字も沖縄そのものの名前、
沖縄では「かなぐすく」と読みます。
charsuqさんとは3つしか違わないようです・・・(^^;)。

最近になって、織りを始めてから、「本物」を見る機会が増えました。
奈良の文化財建造物、仏像、織物に関心を持つようになり、
ここ数年は「本当に良いものを見て触れないといけない」と
強く思うようになりました。

昨日畑から戻ってから(笑)早速このページを拝見しました。
多くの写真に引き込まれ、こちらも笑顔になるような作品が多くありました。
私が好きな奈良の風景も沢山あり、特に聖林寺の十一面観音立像は
私も大好きな観音様。同じく息を呑み見とれていたことがあるので
一人ニヤニヤしてしまいました。

charsuqさんと同様、私も時間に制約がある生活ですが
今回の展示会見学を機に、時間を作ってでも
麻以外の織物を知らないといけないな、と強く思うようになりました。
心って、動かされるものですね。
本当にありがとうございました。
Commented by takhsh at 2008-03-25 15:05 x
charsuqさん、はじめまして。
コメント入れるのはこれが初めてですが、旅行情報の検索をしていてこのブログにたどり着いて以来たびたびのぞかせてもらってます。旅の記念品としてRUGを購入したことがきっかけで絨毯に魅了されもうどれだけになるでしょうか。旅+絨毯がテーマのこのブログは私の心をわしづかみ。懐かしい風景や素敵な絨毯の紹介を楽しませてもらっています。

部族絨毯はマイナーですからなかなか良い実物を見る機会がないので、展示会は前回も今回もとても心惹かれたのですが、なにぶん遠いのです。きっとそう思って行けなかった方も多いのではないでしょうか。今回のエントリーがなんだか悲しげな終わりかたなのでこちらも胸が痛くなってきますが、決してcharsuqさんの力不足ではないと思いますよ。charsuqさんの展示会に立ち寄ったことで数人でも新たに部族絨毯に興味をもつようになったのはすばらしいことです。
Commented by charsuq at 2008-03-25 19:38
かなぐすくさん、コメントありがとう。記帳いただいたお名前からあちらの方だろうと想像はしていましたが、沖縄ではこのように読むのですね。こんなふうに書いてよかったのかどうか迷いましたが、とても好感を持てたのでつい書いてしまいました。失礼をお許しください。
そうですか、僕と3つしか違わないのですか。もっと若いと思いました(^^:;)。
実は僕も絨毯を好きになってから、建造物、仏像などに興味を持つようになったんですよ。まだ古いものと自然が残っている奈良に住んで幸せだなあと感じています。ブログ「奈良今昔物語」は途中で投げ出してしまいましたが、やっぱり奈良が好きだから少しずつでも続けていこうかなと最近思うようになっています。
僕の写真と絨毯を気に入っていただいてとてもうれしいです。そういう人に出会えると「ああ、頑張らないと」と励みになります。
僕は絨毯とそこから広がるわくわくするような何かを伝えることができればと思います。
あのときは麻織りのことを詳しく聞けませんでしたが、これからも自分が信じたことを頑張ってほしいと思います。これからもどうぞよろしく。
Commented by charsuq at 2008-03-25 20:42
takhshさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
旅先で購入された絨毯をまだ好きであり続けているということは結構いいものをお求めになられたんでしょうね。「このブログは私の心をわしづかみ」とおっしゃっていただくほどたいしたことは書いていないのですが、そう言っていただけると素直にうれしいです。
確かに部族絨毯のいいものを自分の眼で見る機会はそう多くないと思います。だからこそもっと人が来てくれると思っていたんですね。それが「なんだか悲しげな終わりかた」と感じさせる書き方になってしまったような気がします。ただtakhshさんのように「遠くに住んでいるので行けなかった」という人が少しでもいることを知りました。これからもできるだけ紹介していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。
Commented at 2008-03-26 02:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by charsuq at 2008-03-26 20:32
鍵コメントさま、ご無沙汰しております。週末もお忙しくされていたようですね。いただいた言葉をとてもありがたく感じています。
展示会をしてまた絨毯を好きになりました。またいつかしたいと考えていますので、タイミングがあれば来てくださいね。
現場に立ってはじめて絨毯やキリムで食べていっている人の大変さを感じることができましたので、鍵コメントさんの立場もよくわかるのです。
何かありましたら遠慮なく連絡してくださいね。
これからもよろしくお願い致します。


いつか また どこかで


by charsuq

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